毎日新聞 2015年02月11日 地方版
福島第1原発から30キロ圏外の南相馬市鹿島区の23人が原発事故による慰謝料などを求めて福島地裁相馬支部に起こした訴訟で、新たに約200人が3月中にも同支部に追加提訴することが10日、原告代理人の弁護団への取材で分かった。請求額は、今回の約13億円と合わせて約14億7000万円となる。原告側は、新たに起こす2次訴訟の審理を、地裁本庁に審理が移された1次訴訟と併合して同支部で行うよう求めているが、実現の可能性は低いという。
請求額は1次訴訟と同じで、原発事故による放射能汚染のため商店や病院が閉鎖し日常生活に不便が生じるなど、事故前の生活を奪われた慰謝料など1人660万円。1次訴訟の原告は昨年10月、「地元の裁判所の方が被害の実態が正しく伝わり、時間・経済的に通いやすい」と相馬支部に提訴。しかし、同支部は「裁判官が1人しかおらず3人体制の合議体が組めない」として、約40キロ離れた福島市の地裁本庁に審理を移す「回付」を決定した。
弁護団は「裁判を受ける権利の侵害」として地裁の上級裁判所にあたる仙台高裁に回付撤回を申し入れたが、「上級庁として指導すべき問題ではない」との理由で却下されたという。2次訴訟も回付される公算が大きく、弁護団は対策を検討している。【土江洋範】