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毎日新聞 2014年11月04日

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福島第1原発:防護服…たまり続ける低レベル放射性廃棄物

毎日新聞 2014年11月04日 06時20分
東京電力福島第1原発で、作業員が着た使い捨ての防護服が、低レベル放射性廃棄物としてたまり続けている。9月末で敷地内に保管されている使用済み防護服は、25メートルプール約70杯分に相当する3万3300立方メートル。東電は当初予定より約半年遅い来秋から焼却設備を稼働する予定だが、発生量の増加に処理が追い付かない可能性もある。汚染水対応などの作業が新たな廃棄物を生む構図は、当面改善しそうもない。

 同原発で施設建設やがれき処理に当たる作業員は1日約5800人(8月平均)。全員が被ばく防止の作業着を身に着ける。マスクや安全靴は洗って再利用するが、不織布のつなぎ(タイベックスーツ)▽三重の手袋▽二重の靴下−−などは使い捨てだ。汚染土・水が付いている場合もあり、放射性廃棄物の扱いになる。

 敷地内に放射性廃棄物の焼却設備があるが、原発事故後は高濃度汚染水の貯蔵場所になった。防護服は約1メートル四方のコンテナに詰めて施設内8カ所に野積みされ、ここ半年は毎月約1000立方メートルずつ増えている。

 東電は2012年12月、防護服などを燃やして量を数十分の1に減らす設備を、6号機北側に新設すると国に申請した。排ガスは放射性物質の吸着フィルターを通して放出し、焼却灰はドラム缶に詰めて密閉する。受注した神戸製鋼が13年5月から工事を始め、当初は地元自治体の了解を得て今年度末に稼働する計画だった。

しかし東電は今年7月、汚染水対策などを優先するとして、工期を延長。稼働は来年10月に先送りされた。今のペースなら、防護服の保管量は稼働までに4万立方メートルを超える。

 焼却の開始後も、処理が追い付くかどうかは微妙だ。東電原子力規制委員会に示した試算では、焼却設備の1カ月の処理量は960立方メートルで、毎月の発生量とほぼ同じ。原発の作業員は増加傾向が続くとみられ、このままでは廃棄物はたまる一方になる。

 東電広報部は「今後、敷地内の除染が進めば、防護服が不必要なエリアも増えて廃棄物が減らせる。焼却設備の増設も検討する」と話す。【清水健二】