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福島民報 2015年2月10日


原町に大規模トマト工場 26日着工 | 県内ニュース | 福島民報

南相馬市の「南相馬復興アグリ」は同市原町区の下太田工業用地に、東日本大震災東京電力福島第一原発事故からの地域農業再生を目指したトマトの大規模植物工場を建設する。26日に着工、12月に栽培を開始し、平成28年春の初出荷を予定している。カゴメが技術支援をした上で全量を買い取り、一部はヨークベニマルが店頭で販売する。アグリ社の社長を務めるのは元東電執行役員で同市小高区出身の半谷栄寿さん(61)。「最大の目的は事業を通じた農業経営者の育成。復興に貢献したい」と決意を込める。
 アグリ社は25年1月の設立。事業の準備を進めてきた。事業用地は約2・4ヘクタールで栽培面積は約1・5ヘクタール。温室内の温度、湿度、二酸化炭素濃度などをコンピューター制御し、ほぼ年間を通して栽培・出荷する。生産量は年間660トン規模で、地元中心に農業経験の有無を問わず約35人を雇用する。事業が軌道に乗れば工場の増設も検討する。農業経営者育成をはじめ、農業教育機関の実地学習の場として活用してもらう。
 用地取得費と建設費は約11億円。地元有志、ヨークベニマルカゴメ電通などが出資。あぶくま信用金庫東邦銀行農林中央金庫の出資や融資、国の津波原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金などを活用する。半谷さんは「官民一体となった支援に本当に感謝している。事業は必ず成功させる」と語る。
 22年6月まで東電執行役員という立場だったことについて、半谷さんは「一生背負っていかなければならない」と話す。自身の古里・小高も原発事故に伴い全域が避難区域になっている。「原子力災害を起こしてしまった立場としての責任を果たす。そして故郷のために頑張りたい」。事業予定地を見詰め、固く誓った。

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