いま何が起こっているのか?

3.11以降のことを原発・放射能の影響・エネルギー問題などの記事を記録している

朝日新聞  国の借金、過去最高1053兆円 1人あたり830万円 2015年5月9日08時38分

日本経済にとって、本当に原発は不可欠なのだろうか。

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 2030年に電力の何%を原発で発電すべきかを政府が検討しており、経済団体が4月に相次いで提言を出した。

 経団連関西経済連合会は「25%超」で、日本商工会議所は「25%程度」。原発事故の影響が出る前の10年度は29%だったから、事故前並みに原発を動かすべきだ、というのが経済界の総意のようだ。

 私は福島県内での在勤時に原発事故を経験し、その後も原発停止の影響を取材してきた。当初は「電力不足」、円高の時は「産業空洞化」、円安になると「国富流出」、料金値上げで「競争力低下」……。原発停止を嘆く経済界の声は、そのときどきで変化していったように感じる。

 影響の多くは原発のみが原因でなく、経済情勢が関係している。一方で、省エネ、蓄電、自然エネルギー発電など原発停止で進む技術革新も多い。事故から4年余り。原発の稼働ゼロでも、足もとの景気は回復基調にある。

 「原発が必要な理由は、はっきりしない。事故後の説明も次々と変わった」。そう話すのは、神奈川県の「鈴廣(すずひろ)かまぼこ」副社長の鈴木悌介(ていすけ)さん(59)だ。小田原箱根商工会議所の会頭でもある。

 原発から約300キロの地ながら、観光客が途絶えた当時を忘れられないという。事故後、「エネルギーから経済を考える経営者ネットワーク会議」をつくった。「原発がないほうが、健全な国・地域をつくれる」との思いからだ。中小企業のトップら約350人が会員。省エネや自然エネの発電を各地で進めている。

 原発をめぐる経済界の主張は推進一色に映りがちだが、鈴木さんのような新たな動きもある。原発比率を事故前並みに戻す必要があるのか。経済界の多様な声を聞きたい。(中川透)