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朝日新聞  北海道)泊原発周辺で安定ヨウ素剤配布、事故風化懸念も2015年5月12日03時00分

北海道電力泊原発のある泊村で11日、原発事故が発生した場合に被曝(ひばく)を予防するための安定ヨウ素剤の住民への配布が始まった。泊原発の運転再開のめどが立たないなか、周辺自治体では事故発生時の避難計画の策定なども進む。反原発団体の人たちからは避難計画への疑問や原発事故の風化への不安の声が出ている。

 泊村の堀株地区集会所では、村の職員らが住民に、13歳以上用に2錠、3~12歳用に1錠、ヨウ素剤の錠剤を渡した。

 同村堀株の女性(85)は受け取った直後、「これはすぐ飲むものなの? それとも日にちを置いてから?」と職員に問いかけた。「(事故があっても)すぐ飲むというわけじゃなく、指示があってから飲むものですよ」と説明を受け、納得した様子だった。

 ただ、説明会に出席していた住民にも取り扱いの周知徹底が簡単ではない、という一面をうかがわせた。

 ヨウ素剤の保管場所として、村が配布している防災袋の中に一緒に入れたり、箱に入れて冷蔵庫に保管したりすると答えた参加者が多かった。

 配布の対象は3歳以上の住民で約1600人。説明会に出席し問診を受けることが前提で、これまで済ませたのは、約3分の2にあたる1096人。

 配布会は12日以降も7カ所であり、19日に泊村公民館で開かれる配布会では説明会と問診も予定されている。村は説明会に出席していない住民に連絡し、出席するよう呼びかけている。

 国の指針では原発から半径5キロ圏内の住民が配布対象。隣の共和町は事前配布はせず、事故が起きた時に配布することを決めている。

 東日本大震災から4年2カ月。泊原発の再稼働をめぐっては、原子力規制委員会が審査しているが、運転再開のめどは立っていない。

 一方、泊原発の事故に備えた避難計画は、原発から30キロ圏内にある13町村のすべてで策定。圏内で暮らす約8万5千人の圏外での受け入れ先として札幌市小樽市などが決まった。道原子力安全対策課の前川清三郎課長は「避難訓練を継続的に行い、課題を確認しながらいろんなパターンに対応できるようにしていくことが重要だ」と話す。

 昨年8月末、国の有識者検討会が日本海で発生する最大規模の津波想定を出し、道は今年度中に浸水予想図をまとめる計画だ。9町村が津波の対象地域に入る。避難路やバスの集合場所が津波浸水の恐れがないか、検証が必要になる。

 避難計画について、「泊原発廃炉をめざす会」の共同代表を務める常田益代・北海道大学名誉教授は「暴風雪や路面凍結、余震や津波など複合災害になった場合に避難ができるのか。強い西風が吹いた時に、札幌市民は大丈夫なのか」。さらに、東京電力福島第一原発事故の「風化」を気にかける。「心の中の不安は変わらなくても、話題に上ることが減っている。自分の考えを声にすることが大切だ」

 函館市では、青森県大間町大間原発の建設中止を求める提訴が相次ぐ。大間原発訴訟の会」の竹田とし子代表は「事故から4年がたっても元の生活に戻れない人がいることを忘れてはいけない」と訴える。(小西淳一、磯崎こず恵、大久保泰)

 

 

 

 

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