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全町民避難の楢葉町が避難指示解除  9月6日(土)

正確な今日の放射線量ー今年の5月を最後に、
地域ごとの空間線量は公式に発表されていない。
住民を被爆させてまで帰村させ、未来ある町ということの不可思議。



公共施設等のモニタリング結果|楢葉町公式ホームページ

政府の原子力災害対策本部(本部長・安倍晋三首相)は5日午前0時、東京電力福島第1原発事故で全域避難となった福島県楢葉町の避難指示を解除した。解除は田村市都路地区と川内村東部に続き3例目で、全域避難した県内7町村では初めて。国は今後、楢葉町を拠点に沿岸部に広がる避難指示区域の除染やインフラ整備を進める。一方、放射線への不安や病院などの生活基盤の不備などから、すぐに帰還する住民は約7300人のうち1割に満たないとみられ、町再生への道のりは険しい。

◇財源確保が課題

 国は2017年3月までに放射線量の特に高い「帰還困難区域」を除き、県内の避難指示を解除する方針だ。3段階ある避難指示区域の中で最も放射線量が低い「避難指示解除準備区域」(年間積算放射線量20ミリシーベルト以下)の楢葉町を「復興の拠点」と位置づけ12年9月から除染に着手。道路などの整備も14年度中にほぼ完了した。

 国によると、楢葉町では宅地の空間線量が1時間当たり平均0.3マイクロシーベルト(昨年7~11月)に低下。国は「年間被ばく量が帰還の目安の20ミリシーベルトを下回ることが確実になった」として、町や住民らとの協議を経て、解除を決定した。医療や買い物への不安を緩和するため、病院への無料送迎バスの運行や町内のスーパーによる宅配サービスも始まる。

 町内には福島第1原発の収束作業や除染を請け負う大手ゼネコンの作業員の宿舎が急増。しかし、住民の転出が相次ぎ、町の人口は事故前の8100人前後から約1割減少した。

 町の税収も減り、震災前に6割を超えていた自主財源率も3割程度と低迷が続く。一方、復興関連事業費は膨らみ、今年度の当初予算は10年度の5倍となる過去最高の200億円を突破。復興の財源確保は解除後の大きな課題だ。

 復興庁が昨年10月実施した帰還意向調査(回収率55.6%)では、「すぐに戻る」「条件が整えば戻る」と答えた町民は46%で、うち帰還時期を避難指示解除から「1年以内」と答えた人は37%だった。しかし、今年4月に始まった「準備宿泊」に登録した町民は約780人にとどまった。17年4月に同県いわき市の仮設校から町に戻る町立小中学校に「通学する」とした児童生徒数も、町のアンケート調査で就学対象者の7%しかない。【栗田慎一、小林洋子】


政府、楢葉町の避難指示を解除 全町避難の自治体で初

産経新聞 9月5日(土)0時25分配信

政府は5日、住民が帰還できる環境が整ったとして、東京電力福島第1原発事故に伴い福島県楢葉町に出していた避難指示を約4年半ぶりに解除した。避難指示の解除はいずれも同県の田村市都路地区と川内村の一部に続いて3カ所目で、全町避難している自治体では初めて。

 楢葉町は人口7368人人(9月1日時点)で、ほぼ全域が第1原発から20キロ圏内に入る。原発事故後は「警戒区域」に指定されたが、平成24年8月10日に比較的放射線量の低い「避難指示解除準備区域」に再編された。

 町民は福島県を含む30都道府県に避難しており、8割弱が福島県いわき市に身を寄せている。今年4月からは避難指示解除に向けて住民が長期滞在できる「準備宿泊」が行われていたが、登録数は8月31日時点で、351世帯780人にとどまった。

 避難指示の解除に先立ち4日夜には記念イベントが行われた。新たな一歩を踏み出す町民らが、「希望」や「大好きな町」と書いた灯籠3000個に火を灯し、故郷で生活を再開できる喜びをかみしめていた。

原発事故から4年半、避難指示解除 福島・楢葉町

朝日新聞デジタル 9月4日(金)22時35分配信

東京電力福島第一原発事故でほぼ全住民が避難している福島県楢葉町(人口約7400人)について、政府は5日午前0時、4年半続いた避難指示を解除した。全自治体規模で解除されるのは初めて。指示解除は3例目で対象人数はこれまでで最も多く、本格帰還の先駆けとなる。

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【写真】5日午前0時の避難指示解除を前に、町の復興を祈念して点火されたキャンドルを見る子どもたち=4日午後6時38分、福島県楢葉町、仙波理撮影
東京電力福島第一原発事故からの避難指示が5日午前0時に解除されるのを前に、福島県楢葉町の木戸川河口付近では、犠牲者の追悼と町の復興の願いを込め、一筋の光が空を照らした。除染などで出た低線量の放射性物質を含む廃棄物を詰めた袋が積み上げられた町に明かりは少なかった。左後方は広野火力発電所、右奥の明かりは国道6号と広野町の街明かり=4日午後7時44分、仙波理撮影


 楢葉町は大部分が福島第一原発の20キロ圏にあり、2011年3月12日にほぼ全住民が避難した。当初、町は原則立ち入りが禁じられる警戒区域に指定されたが、12年8月から日中は立ち入りできるようになった。除染やインフラ復旧が進んだとして今年4月、希望者が帰還に向けて自宅に滞在できる準備宿泊制度を始めた。

 8月31日までに宿泊を登録したのは1割強の351世帯780人。町によると、実際に滞在しているのは100世帯程度にとどまる。避難先に定住を決めた住民がいるほか、病院や買い物、学校など町の生活環境に不安を覚える人も少なくない。放射線の健康への影響を心配する人もいる。

 指示解除は田村市都路地区と川内村東部に続き3例目。県内では今後も9市町村の7万人余りに政府の避難指示が続く。政府は順次解除する考えで、8月31日には川俣町山木屋地区や葛尾村南相馬市小高区などで準備宿泊制度を認めた。福島第一原発がある大熊町双葉町などの帰還困難区域は放射線量が高く、解除のめどは立っていない。