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東京新聞(2015年2月15日)

核のごみ対策 再稼働条件に 学術会議 再提言へ

学術の立場から国に政策提言などを行う日本学術会議大西隆会長)が、原発から出る「核のごみ」対策を政府と電力会社が明確化することを原発再稼働の条件にすべきだとする政策提言案をまとめたことが分かった。十七日に同会議の検討委員会で議論し、三月にも正式に公表する予定で、世論形成や国の政策に一定の影響を与えそうだ。 

 学術会議は二〇一二年にも「核のごみ」政策の抜本的見直しを提言しており、あらためて政府に改善を促す異例の対応。高レベル放射性廃棄物の処分問題に進展がないまま再稼働を進める国の姿勢を「将来世代に対する無責任」と批判しており、新増設も容認できないと強調している。

 政策提言案は「国、電力会社、科学者に対する国民の信頼は東京電力福島第一原発事故で崩壊した状態で(核のごみの)最終処分地の決定は困難」と指摘。信頼回復や国民の合意形成、科学的知見を深めるため、地上の乾式貯蔵施設で原則五十年間「暫定保管」することを提案した。次の世代に迷惑をかけないため、保管開始後三十年をめどに処分地の決定が重要としている。

 さらに負担の公平性の観点から「暫定保管の施設は原発立地以外での建設が望ましい」とし、各電力会社が責任を持って管内に最低一カ所、施設を確保する計画の作成を再稼働の条件として求めている。

 また、合意形成のために「核のごみ問題国民会議」を設置する必要性を強調。再稼働で生じる放射性廃棄物の抑制や上限設定など「総量管理」についても議論すべきだとしている。

 国は、放射性廃棄物を地下深くに埋める「地層処分」を前提に「科学的な有望地」を提示した後、複数の候補地に調査受け入れを要請する方針だが、受け入れに前向きな自治体が見つかる見通しは立っていない。


ちなみに…
去年の衆院選で各党が核のゴミについて公約として主張していたことを検証すると。

 原発・エネ 自民、地元理解得て再稼働 共・生・社・改、すぐに「ゼロ」

 エネルギー政策では、原発の再稼働を認めるかどうかや、原発を将来ゼロにするかどうかが争点だ。

 原子力規制委員会の審査が最も進む九州電力川内原発鹿児島県)は、来年2月にも再稼働する。自民党は規制委の審査を通った原発は再稼働させる方針だ。「国も前面に立ち、立地自治体等関係者の理解と協力を得る」と公約し、再稼働に最も積極的だ。将来の原発依存度は「可能な限り低減させる」としたが、原発は「重要なベースロード電源」として活用し、ゼロにしない考えだ。

 同様に、再稼働にも原発維持にも前向きなのが次世代の党。与党の一角を占める公明党は、再稼働は容認する姿勢だが、将来の「原発ゼロをめざす」とした。

 これに対し、民主党は政府が避難計画づくりを自治体任せにしていると批判。公約で「責任ある避難計画がなければ、原発を再稼働すべきではない」と、再稼働に条件をつける。また、民主党政権時代に決めた「2030年代の原発ゼロ」との目標も維持した。

 維新の党も、避難計画などに国が責任を持つことを定める「原発再稼働責任法」の制定を公約。「核のゴミの最終処分の解決なくして原発再稼働なし」とし、現状の再稼働には反対だ。電力業界の競争を進め、自然に原発がなくなるようにする「原発フェードアウト」をめざすという。

 共産、生活、社民、新党改革の4党は、条件付き再稼働も認めず、すぐに原発をなくすべきだと訴える。(福間大介、大津智義)