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「今やっても遅くない」と新組織設立を提言-原子力規制委を退く委員の”重い言葉”…この言葉はどこに?生かされるのか…

ちょうど1年前に原子力規制委員会から退かれた大島氏の残された言葉。
「日本は(腰が)引けている」とし、日本でも同じような仕組みをつくって避難計画の実効性を高めるべきとの考えを示した。

元外交官である大島氏は、福島第1原発事故の国会事故調査委員会の委員も務め、規制委では海外規制当局との協力強化などを担当してきた。(記事より)

広島市のご出身で、被爆され、お母様もなくされている。
そう言ったことも、放射能に対してのしっかりとしたお考えがおありなのかもしれない。
(来歴:ウィキペディアより)
フランス語研修、在フランス大使館・在インド大使館・在オーストラリア大使館・在アメリカ大使館勤務などを経て、1990年在アメリカ合衆国日本国大使館公使1993年8月国際協力事業団総務部1995年8月アジア局審議官、国際社会協力部長、 1997年経済協力局長、人間の安全保障・科学技術協力・国連改革担当大使を務めた。1999年総理府特別の機関である国際平和協力本部にて事務局長に就任し、日本としての平和維持・人道支援プログラムの調整にあたった。2001年中旬、国際連合事務総長コフィー・アナンにより、国連事務次長(人道問題担当)に任命され、その後、在オーストラリア特命全権大使2003年9月から2004年12月までの間務めた。

2004年11月国連大使就任。日本の安保理常任理事国入りを目指し、ドイツなどと共に安保理拡大決議案(G4案)を国連総会に提出したが、米国などの不支持で採決に至らず廃案になった。2006年10月の北朝鮮核実験では、安保理制裁決議採択で各国との調整にあたった。

2007年10月国際協力機構(JICA)副理事長就任。2011年9月国際協力機構(JICA)顧問、12月国会福島原子力発電所事故調査委員会委員に就任。現職は広島大学特任教授放射線被爆者医療国際協力推進協議会(HICARE)理事も務める。

2012年9月19日環境省外局である原子力規制委員会にて委員に就任した。[3]



toyokeizai.net

中村 稔 東洋経済 編集局記者
2014年09月23日

 

退任会見で日米の取り組みの違いを強調した大島賢三氏。

退任する委員とはいえ、非常に重みのあるメッセージだった。

原子力規制委員会委員(規制委)としての2年の任期を終了した島崎邦彦、大島賢三の両氏が18日、それぞれ退任会見を開いた。大島氏は原子力発電所周辺の自治体が策定する防災・避難計画について、規制当局と国家の防災専門組織が連携して積極関与している米国に比べ、「日本は(腰が)引けている」とし、日本でも同じような仕組みをつくって避難計画の実効性を高めるべきとの考えを示した。

元外交官である大島氏は、福島第1原発事故の国会事故調査委員会の委員も務め、規制委では海外規制当局との協力強化などを担当してきた。

日本と米国の違い

日本では現状、内閣府が防災・避難計画を所管し、各周辺自治体が策定している。規制委は策定において技術的サポートを行っているものの、原発の運転を許可する際の審査対象にはしていない。規制委の審査が最も進んでいる九州電力川内原発周辺自治体の避難計画を含め、その実効性には専門家や住民などから多くの不備、不安が指摘され、「自治体へ実質丸投げ」の弊害として問題視されている。

避難計画の実効性を高めるには何が必要かとの記者団の問いに対し、大島氏は次のように答えた。

「米国では、原子力災害に限らず竜巻など自然災害も含めて所管しているFEMA(米連邦緊急事態管理庁)という組織があり、NRC(米原子力規制委員会)と協力しながら、自治体が策定する避難計画に相当突っ込んで関与して支援している」

日本版「FEMA」の設立を提言

原子力規制委員会田中俊一委員長は退任する委員の”提言”をどう受け止めたのか(撮影:尾形文繁)

大島氏は、「米国では一歩進んで、(原発運転の)ライセンスを出すときに、その避難計画が訓練も含めてきちんと行われることをFEMAと協力して確認する。そういう米国のやり方と比べると、日本は確かに(腰が)引けている」とも述べた。

そして、「日本でも規制委が(避難計画の)指針を作っているが、国のあり方とすれば、もっともっと突っ込んで関与したほうがいいのではないかと思う。“日本版FEMA”のような組織をつくってプロが関与していくことが、原子力災害だけでなく、今後激甚化が予想される自然災害、複合災害への対応としても必要ではないか。今やっても遅くはない」と、新組織の立ち上げを提言した。

原子力施設の安全性向上に必要な条件を、大島氏は3輪車にたとえる。前輪が「規制基準」、後輪が「事業者の安全文化」と「防災・避難計画」の2つだ。同様に、田中俊一委員長もかねてより「規制基準と防災は車の両輪」と表現し、防災・避難計画の重要性は強調しているものの、現状の法体系上、避難計画の実効性を評価する立場にはないとしてきた。

だが、米国を参考に現状の仕組み自体を見直すべきとする大島氏の発言は、規制委委員としての経験を踏まえたものだけに、重く受け止める必要があるだろう。