いま何が起こっているのか?

3.11以降のことを原発・放射能の影響・エネルギー問題などの記事を記録している

核燃料サイクル延命 経産省「撤退許さず監督」 認可法人を新設  2015年9月1日 朝刊東京新聞

何があっても負を認めたくないのだろう。
これって敗戦間近の日本首脳部のとった思考回路に近いものをにおわせる。
早く、手を引かないとーなにかとんでもないことになる気がするのはなんでだろう?

 

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経済産業省有識者会議は三十一日、使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクル事業から民間事業者が撤退できないようにするため、新たな認可法人を設置する案を大筋で了承した。今後詳細を詰める。核燃料サイクルの中核となる再処理事業は、電力各社が出資する日本原燃青森県六ケ所村)が手掛けているが、実現のめどは立っていない。再処理事業の「延命」で電気料金などの国民負担が継続する恐れがある。

 会議で経産省が提示した新たな案では、原発を持つ電力会社などが再処理事業の実施主体となる新たな認可法人を設立し、実際の再処理事業は委託を受けた日本原燃が担う。

 認可法人経産省の所管となり、事業計画に関して監督を受けるため、経産省の許可なしに再処理事業から撤退することができなくなる。事業資金は、電力各社に拠出を義務付けることも検討する。

 青森県六ケ所村の日本原燃の再処理工場はトラブルが相次ぎ、これまでに完成予定時期が計二十二回、延期され、まだ稼働していない。建設費の見積もりは当初の約七千六百億円から約二兆二千億円に膨張。国は再処理事業全体では、少なくとも約十二兆六千億円が必要と試算している。

 これらのコストは、電気料金で消費者が負担している。電力会社は事業費に一定の利益を上乗せした「総括原価方式」に基づきコストを電気料金に転嫁しているが、二〇一六年四月から電力自由化が始まると、この方式は廃止される。

 経産省は自由化後も再処理に必要な費用を電気料金に転嫁し、確実に回収できるような仕組みの導入を検討するが、立命館大の大島堅一教授は「民間で実現できず、存続が危ぶまれるような事業を国が続けさせることに問題がある。再処理が本当に必要なのかあらためて問うべきだ」と指摘している。 (岸本拓也)

www.tokyo-np.co.jp

原子力規制委の「審査合格」は穴だらけー川内原発、「安全神話」に懲りないのか中村 稔 :東洋経済 編集局記者 2014年09月21日

一年前の記事。
1)噴火可能性が十分に小さいことを継続的に確認するため、モニタリング(観測)を行い、噴火の兆候が観測された場合には、原子炉の運転停止や燃料の搬出など必要な対処を行うという九電の方針を、審査指針(火山ガイド)に合致したものと評価した。←これ既にウソになっている!ww

しかもこの段階ですでにー
「規制委はできもしないことをできるかのように扱っており、科学的とはいえない。新たな安全神話をつくるようなことがあってはならない」by:火山地質学が専門の高橋正樹・日本大学文理学部地球システム科学科教授と警告する。


2)原子炉から取り出した燃料は、最低5年程度は使用済み燃料プールで冷やす必要があるが、いつ搬出できるのか。
 どこに搬出先があるのか。疑問は尽きない。←これはすでに日本全国の問題。


3)住民の避難計画は審査対象となっていない。←これって周辺の住民は周知させられているのか?外国では廃炉に追い込まれるほどの重要な問題なのに…

米国では、住民避難計画を含めた十分な緊急時計画(Emergency Plans)が保証されていると原子力規制委員会(NRC)が判断しなければ、原発の運転が許可されないと規定されている。州と地方政府が策定した緊急時計画の実効性については、NRCは連邦緊急事態管理庁FEMA)による評価を基に判断している。ニューヨーク州のショーラム原発のように、自治体や住民が同意できる実効性のある緊急時計画を策定できず、商業運転を行う前に廃炉に追い込まれたケースもある。

でも賢い田中さんはしっかり「責任回避」を決め込んでいる。以下ー
【規制委の田中委員長自身、「規制基準と防災は車の両輪」と常々述べてきた。だが、防災・避難計画は規制基準とは別の法体系にあり、所管が内閣府、策定責任は自治体にあるため、「実効性があるかどうかを言う立場にない」としてきた。 】

  安倍さんに訊きたい…世界で最も厳しい安全基準って誰が言ったの?
識者はこういっています。
植田和弘京都大学大学院教授(環境経済学)は、世界ではすでに導入されつつあるコアキャッチャー(原子炉圧力容器外に流出した溶融炉心を格納容器内に貯留する設備)や、二重の格納容器などが必ずしも審査の要件になっておらず、「世界で最も厳しい基準というのは、かなり怪しい」と見る。
安倍さんの得意の……と同じようにしてるだけなのだろうか…

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9月16日の記者会見で「私はいつでも現場に行く準備はできております」と小渕優子経済産業相

(以下記事コピペ)
原子力規制委員会が9月10日、九州電力川内原子力発電所1、2号機の安全性確保に関する基本方針である設置変更許可申請に対し、新規制基準に適合しているとする「審査書」を正式決定した。福島第1原発事故の教訓を踏まえ、昨年7月に施行された新規制基準の下での初めての審査合格。この先もまだ工事計画と保安規定の認可作業や使用前検査などの法令上の手続きが残るが、規制委として川内原発の再稼働にゴーサインを出したことになる。

田中俊一委員長は当日の会見で「川内原発については、運転にあたり求めてきたレベルの安全性が確保されることを確認した」と語った。また、「審査開始から1年以上かかったが、一つのヤマ、ステップを踏み出した。この後にたくさんの(他の原発の)審査が控えており、着実に進めていきたい」と述べた。

規制委による「審査合格」を受け、政府は12日、原子力防災会議(議長・安倍晋三首相)を開き、周辺自治体の避難計画など緊急時の対応策を「具体的かつ合理的」だとして了承した。また、小渕優子経済産業相は同日、「川内原発の再稼働を政府として進める」と明記した文書を、鹿児島県知事と薩摩川内市長に交付した。

しかし、これまでの審査によって川内原発の安全性が確認されたという規制委の見)解には、大きな疑問が残されたままだ。

火山審査は「科学的とはいえない」

まず、川内原発固有の問題である火山影響評価の妥当性だ。

規制委は、桜島を含む姶良(あいら)カルデラなどの周辺火山の巨大噴火によって、川内原発の運用期間中(核燃料が存在する期間)に安全性に影響を及ぼす可能性について「十分に小さい」と評価した。

そして、噴火可能性が十分に小さいことを継続的に確認するため、モニタリング(観測)を行い、噴火の兆候が観測された場合には、原子炉の運転停止や燃料の搬出など必要な対処を行うという九電の方針を、審査指針(火山ガイド)に合致したものと評価した。

しかし、火山の専門家からは、規制委の判断を根底から否定するような厳しい批判が相次いでいる。

規制委が火山審査後に設置した、モニタリング方法を検討する有識者会合では、「現在の火山学では噴火の時期や規模を予知するのは極めて困難」(中田節也・東京大学地震研究所教授)と、予知やモニタリングの限界が指摘された。

また、巨大噴火の可能性が十分に小さく、モニタリングが可能とする根拠とされた海外の論文(ドルイット論文)について火山噴火予知連合会会長の藤井敏嗣・東京大学名誉教授は、「カルデラ噴火一般について述べたものではない。これは執筆者本人にも確認した」と指摘。ドルイット論文という一例を、川内原発周辺を含めたカルデラ一般に適用しようとする、九電や規制委の判断根拠に疑念を示した。

原子力規制委員会田中俊一委員長は「規制は世界で最も厳しいレベルになった」というが、専門家からは批判続出(撮影:今井康一)

藤井氏は、巨大噴火に至るような状況ではないとした規制委の判断内容に関し、「いくつか疑義があるが、そのことについてもこの検討チームの中で議論するのか」と質問。

これに対して規制委の島崎邦彦委員長代理は、「そこまでさかのぼって全部ひっくり返してしまうと、この検討チーム自体が成り立たなくなる」と、慌てたように否定。専門家と規制委の認識のギャップを象徴するような一幕だった。

この有識者会合のメンバーではないが、火山地質学が専門の高橋正樹・日本大学文理学部地球システム科学科教授は、規制委が作った火山ガイドにおいて、階段ダイヤグラムという手法で噴火ステージを判断でき、地殻変動などのモニタリングによって巨大噴火も予測できるとしている前提を疑問視。「規制委はできもしないことをできるかのように扱っており、科学的とはいえない。新たな安全神話をつくるようなことがあってはならない」と警告する。

要するに、川内原発の火山審査を科学的に行うことは、今の火山学の知見では無理がある。本来なら、規制委はそのように判断して、再稼働の是非は政治判断にゆだねるべきところだ。それなのに、根拠が不十分なまま、自説を押し通すような形で結論づけているので、多くの反発を招いている。

有事の際、燃料をどこへ搬出するのか

噴火の兆候が観測された場合には、九電は原子炉の運転停止や燃料の搬出など必要な対処を行うというが、具体的な対処方針についてはまだ示されておらず、今後、九電が策定して認可を申請する保安規定の中で示されることになっている。

こうした重要なことが未確定で、規制委の認可を受けていない状況では、審査はまだまだ終わったとはいえない。噴火の予知は困難なのに、適切な対処方針を定めることができるのか。原子炉から取り出した燃料は、最低5年程度は使用済み燃料プールで冷やす必要があるが、いつ搬出できるのか。どこに搬出先があるのか。疑問は尽きない。

規制委は仮合格証にあたる「審査書案」を7月16日に出した後、30日間にわたり意見公募(パブリッグコメント)を行った。パブコメ実施に法令上の義務はないにせよ、重要性に鑑みれば、これから審査される保安規定や工事計画を含めてパブコメの対象とすべきだったとの批判が出るのも当然だろう。

パブコメは結果的に1万7819件が寄せられた。「貴重な意見も多かった。きちっと精査して、(審査書に)反映すべきものは反映している」(田中委員長)というが、反映は字句の手直し程度で、実質的には無修正と言っても過言ではない。専門家から疑義が出ていた火山の審査手法に関する意見はまったく反映されなかった。噴火兆候把握時の対処方針への質問にも、規制委は「事業者において具体的な検討がなされる必要がある」とのみ回答している。形だけのパブコメとの印象はぬぐえない。

周辺自治体が策定する住民の避難計画も審査対象にすべきだとの指摘には、「原子力災害対策特別措置法(原災法)に基づいて対策が講じられる」とだけ答えた。

日本では、原子力災害対策は災害対策基本法の特別法として原災法が定められ、原子力事業者と周辺自治体に防災計画の策定を義務づけている。安全規制と原子力災害対策が異なる法体系の下に置かれており、規制委が原発の安全性を審査するにあたって、住民の避難計画は審査対象となっていない。

米国では、住民避難計画を含めた十分な緊急時計画(Emergency Plans)が保証されていると原子力規制委員会(NRC)が判断しなければ、原発の運転が許可されないと規定されている。州と地方政府が策定した緊急時計画の実効性については、NRCは連邦緊急事態管理庁FEMA)による評価を基に判断している。ニューヨーク州のショーラム原発のように、自治体や住民が同意できる実効性のある緊急時計画を策定できず、商業運転を行う前に廃炉に追い込まれたケースもある。

実効性の保証なき住民避難計画

現状、川内原発周辺自治体による避難計画の実効性に関しては、数多くの問題点が指摘されている。原発から10キロメートル圏外にいる要援護者の避難計画の策定が先送りされているほか、避難する住民や車両のスクリーニング(放射線汚染検査)の場所も決まっていない。また、大半の自治体の避難計画は、風向きに応じて避難先を変えるものにはなっていない。有事における道路の渋滞状況の想定が実効性を欠くとの指摘や、より詳細な避難時間のシミュレーションが必要との意見も多い。

原子力を含む災害リスク管理が専門の広瀬弘忠・東京女子大学名誉教授は、現状の避難計画について「自治体へ丸投げされ、結果的に実効性の乏しい避難計画になっている。福島の教訓がまったく生かされていない」とし、「原子力災害の大きさを考えれば、原発の再稼働を判断する要件として、実効性のある避難計画の策定は当然入れるべき」と語る。

規制委の田中委員長自身、「規制基準と防災は車の両輪」と常々述べてきた。だが、防災・避難計画は規制基準とは別の法体系にあり、所管が内閣府、策定責任は自治体にあるため、「実効性があるかどうかを言う立場にない」としてきた。

自治体へ丸投げにしてきた姿勢を批判された政府は最近、内閣府経産省の職員数人を地元自治体へ派遣することを決めた。だが、そうした支援で、住民の安全を守る要である避難計画の実効性が担保されるのかは疑問だ。

改めて問われる「世界で最も厳しい規制」

田中委員長は、13年7月の新規制基準施行によって、日本の原子力規制は「世界で最も厳しいレベル」になったと自負している。国民に向けて、そう言い続けることは本当に妥当なのだろうか。

植田和弘京都大学大学院教授(環境経済学)は、世界ではすでに導入されつつあるコアキャッチャー(原子炉圧力容器外に流出した溶融炉心を格納容器内に貯留する設備)や、二重の格納容器などが必ずしも審査の要件になっておらず、「世界で最も厳しい基準というのは、かなり怪しい」と見る。

また、新規制基準から立地審査指針(原子炉施設の立地条件)が省かれたことや、実効性のある避難計画が審査要件になっていないことなどから、「規制委審査は住民の安全性を踏まえていない」と批判する。

「世界で最も厳しい」「世界最高」という表現は、原発の安全性に対して国民に高い信頼感を与えるものだ。だが、もしそれが実態にそぐわない表現であるとすれば、逆に国民を欺き、新たな安全神話をつくることにもつながりかねない。その表現が持つ意味の重さが改めて問われている。

「今やっても遅くない」と新組織設立を提言-原子力規制委を退く委員の”重い言葉”…この言葉はどこに?生かされるのか…

ちょうど1年前に原子力規制委員会から退かれた大島氏の残された言葉。
「日本は(腰が)引けている」とし、日本でも同じような仕組みをつくって避難計画の実効性を高めるべきとの考えを示した。

元外交官である大島氏は、福島第1原発事故の国会事故調査委員会の委員も務め、規制委では海外規制当局との協力強化などを担当してきた。(記事より)

広島市のご出身で、被爆され、お母様もなくされている。
そう言ったことも、放射能に対してのしっかりとしたお考えがおありなのかもしれない。
(来歴:ウィキペディアより)
フランス語研修、在フランス大使館・在インド大使館・在オーストラリア大使館・在アメリカ大使館勤務などを経て、1990年在アメリカ合衆国日本国大使館公使1993年8月国際協力事業団総務部1995年8月アジア局審議官、国際社会協力部長、 1997年経済協力局長、人間の安全保障・科学技術協力・国連改革担当大使を務めた。1999年総理府特別の機関である国際平和協力本部にて事務局長に就任し、日本としての平和維持・人道支援プログラムの調整にあたった。2001年中旬、国際連合事務総長コフィー・アナンにより、国連事務次長(人道問題担当)に任命され、その後、在オーストラリア特命全権大使2003年9月から2004年12月までの間務めた。

2004年11月国連大使就任。日本の安保理常任理事国入りを目指し、ドイツなどと共に安保理拡大決議案(G4案)を国連総会に提出したが、米国などの不支持で採決に至らず廃案になった。2006年10月の北朝鮮核実験では、安保理制裁決議採択で各国との調整にあたった。

2007年10月国際協力機構(JICA)副理事長就任。2011年9月国際協力機構(JICA)顧問、12月国会福島原子力発電所事故調査委員会委員に就任。現職は広島大学特任教授放射線被爆者医療国際協力推進協議会(HICARE)理事も務める。

2012年9月19日環境省外局である原子力規制委員会にて委員に就任した。[3]



toyokeizai.net

中村 稔 東洋経済 編集局記者
2014年09月23日

 

退任会見で日米の取り組みの違いを強調した大島賢三氏。

退任する委員とはいえ、非常に重みのあるメッセージだった。

原子力規制委員会委員(規制委)としての2年の任期を終了した島崎邦彦、大島賢三の両氏が18日、それぞれ退任会見を開いた。大島氏は原子力発電所周辺の自治体が策定する防災・避難計画について、規制当局と国家の防災専門組織が連携して積極関与している米国に比べ、「日本は(腰が)引けている」とし、日本でも同じような仕組みをつくって避難計画の実効性を高めるべきとの考えを示した。

元外交官である大島氏は、福島第1原発事故の国会事故調査委員会の委員も務め、規制委では海外規制当局との協力強化などを担当してきた。

日本と米国の違い

日本では現状、内閣府が防災・避難計画を所管し、各周辺自治体が策定している。規制委は策定において技術的サポートを行っているものの、原発の運転を許可する際の審査対象にはしていない。規制委の審査が最も進んでいる九州電力川内原発周辺自治体の避難計画を含め、その実効性には専門家や住民などから多くの不備、不安が指摘され、「自治体へ実質丸投げ」の弊害として問題視されている。

避難計画の実効性を高めるには何が必要かとの記者団の問いに対し、大島氏は次のように答えた。

「米国では、原子力災害に限らず竜巻など自然災害も含めて所管しているFEMA(米連邦緊急事態管理庁)という組織があり、NRC(米原子力規制委員会)と協力しながら、自治体が策定する避難計画に相当突っ込んで関与して支援している」

日本版「FEMA」の設立を提言

原子力規制委員会田中俊一委員長は退任する委員の”提言”をどう受け止めたのか(撮影:尾形文繁)

大島氏は、「米国では一歩進んで、(原発運転の)ライセンスを出すときに、その避難計画が訓練も含めてきちんと行われることをFEMAと協力して確認する。そういう米国のやり方と比べると、日本は確かに(腰が)引けている」とも述べた。

そして、「日本でも規制委が(避難計画の)指針を作っているが、国のあり方とすれば、もっともっと突っ込んで関与したほうがいいのではないかと思う。“日本版FEMA”のような組織をつくってプロが関与していくことが、原子力災害だけでなく、今後激甚化が予想される自然災害、複合災害への対応としても必要ではないか。今やっても遅くはない」と、新組織の立ち上げを提言した。

原子力施設の安全性向上に必要な条件を、大島氏は3輪車にたとえる。前輪が「規制基準」、後輪が「事業者の安全文化」と「防災・避難計画」の2つだ。同様に、田中俊一委員長もかねてより「規制基準と防災は車の両輪」と表現し、防災・避難計画の重要性は強調しているものの、現状の法体系上、避難計画の実効性を評価する立場にはないとしてきた。

だが、米国を参考に現状の仕組み自体を見直すべきとする大島氏の発言は、規制委委員としての経験を踏まえたものだけに、重く受け止める必要があるだろう。

「被曝前提では住民理解得られない」ー泉田知事vs規制委、原発事故対応すれ違い 中村 稔 :東洋経済 編集局記者2015年09月02日

とても当たり前のことを泉田さんは要求されている。
要約すると以下の3点。

1)事故後、「事故原因の検証・総括がないままでの柏崎刈羽原発の再稼働は論外」
2)「被爆を前提に避難指示を出すことになり、住民理解を得ることは困難」
  災害対策基本法では国に法的な指示権限がなく、
  市町村の判断で住民に避難指示を出すべきケースもありうる。
  こうした2つの法律が別立てで存在することによる自治体の混乱を
  避けるため、法体系を整備するよう要望した。
3)泉田氏は地元の声を防災対策に生かすため、
  規制委と知事会が定期的に協議する場を設置することも要請。

  ▲これに対し田中氏は、自治体の声を聴く必要性は認めたものの、「定期協議というのは、なかなか難しい問題」と答えた。

(泉田さんの提言)至極もっともだが、日本国中の原発では全く検討されていない。
今回の提言書では、原発への大規模な武力攻撃事態を想定した対処マニュアルの策定も国に求めているが、泉田氏は「諸外国では特に9.11(米国同時多発テロ)の後は、原発へのテロ攻撃も想定して(対処マニュアルが)運用されているが、我が国ではテロを含めて誰がどう対応するのかという態勢が十分にとれていない」との認識を示した。

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しかし、こういうことを正々堂々と求める首長が泉田さんしかいないことがー亡国を感じさせる。

toyokeizai.net

以下記事より

新潟県泉田裕彦知事と、原子力規制委員会田中俊一委員長の面談が初めて実現した。泉田氏といえば、東京電力柏崎刈羽原子力発電所がある地元の県知事。福島第1原発事故後、「事故原因の検証・総括がないままでの柏崎刈羽原発の再稼働は論外」との立場を崩さず、再稼働を急ぐ東電の対応を批判してきた。

また、柏崎刈羽に限らず、住民の防災・避難対策が不十分なままでの原発再稼働はありえないと主張し、規制委に対しても住民の安全確保に対する考え方をただすため、以前から田中委員長に面談を求めていた。

8月24日、泉田氏は全国知事会の危機管理・防災特別委員会委員長として、現行の原子力災害対策に関する見直しの提言書を手渡すため、東京都港区の原子力規制委を訪問。ようやく、2人の直接面談が行われることとなった。

被爆してから…では住民守れない

泉田知事が特に強く要求したのが、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)を活用した、実効性ある住民避難の仕組みだ。

規制委が今年4月に改定した原子力災害対策指針では、原発事故時の住民の避難対策はSPEEDIによる放射線量の予測値ではなく、モニタリングポストの実測値を使用する方針が定められた。泉田氏は「被爆を前提に避難指示を出すことになり、住民理解を得ることは困難」と批判した。

また同指針では、甲状腺の被爆を抑える安定ヨウ素剤の事前配布は原発5km圏(PAZ)の住民に限定され、5~30km圏(UPZ)では緊急事態発生後にヨウ素剤を配布することになっている。泉田氏は、緊急事態発生から数時間以内にUPZの全住民(新潟県の場合は約40万人)に配布することは極めて難しいと主張。放射線量の実測値が上がってから配るようでは「被曝してから服用」することになり、住民の安全は守れないと訴えた。

ほかに、原発重大事故時の指揮系統の問題についても触れた。原子力災害対策特別措置法では、国の対策本部が地元市町村に対し、UPZの住民の屋内退避を指示することになっている。

一方、災害対策基本法では国に法的な指示権限がなく、市町村の判断で住民に避難指示を出すべきケースもありうる。こうした2つの法律が別立てで存在することによる自治体の混乱を避けるため、法体系を整備するよう要望した。

さらに現行の労働安全衛生法では、労働災害の急迫した危険があるときは労働者を作業場から退避させる義務が事業者にある。そのため、緊急時の高線量下において、ヨウ素剤をUPZの住民に配布したり、地震で陥没した道路を復旧したり、避難住民を搬送するバス運転手を確保したりする災害対応が難しい法体系になっている。泉田氏はこうした法体系の整理に向け、規制委が国への勧告権を行使するよう求めた。

議論は平行線のまま

泉田知事からの要望には、慎重な姿勢を崩さなかった田中委員長

こうした要求に対し田中委員長は、「法体系ということになると、いま具体的なイメージがわからないので、もう少し検討させてほしい」「労働安全衛生法厚生労働省の所掌業務なので、よく協議しないと」などと返答。国への勧告権行使についても、「法的には(規制委は)勧告権を持つが、それなりに意義のある勧告でないと。勧告しただけで終わるのは私としては本意ではない」と慎重な姿勢を示した。

また、SPEEDIの活用案に関しては、「SPEEDIでは絶対値は評価できない。ソースターム(放射性物質の放出源情報)は事故時にはわからず、SPEEDIでの避難は混乱の元になる」「SPEEDIを使ってヨウ素剤を配るのは基本的に必ずしも正しくないと思っている」などと否定的な考えを表明した。

UPZの住民に対するヨウ素剤の事前配布についても「本当に必要であれば、事前配布を含めて柔軟に取り組んでいただければいい」と回答。だが泉田氏は、事前配布が国の指針に入っていないと、予算がすべて自治体負担になり対応できないとして、理解を求めた。泉田氏は地元の声を防災対策に生かすため、規制委と知事会が定期的に協議する場を設置することも要請。これに対し田中氏は、自治体の声を聴く必要性は認めたものの、「定期協議というのは、なかなか難しい問題」と答えた。

面談後、泉田氏は記者団の取材に応じた。初会談の印象について泉田氏は、「現行の法体系に矛盾が多々あることを私は4年前から指摘しているが、ようやく面談がかなって委員長に認識してもらえたのは一歩前進」と語り、「今後、内閣府とも協力して検討を進めてほしい」と期待を示した。

方で泉田氏は、「規制委のミッションは国民の生命、安全を守ること。だが、(田中委員長からは)住民目線の話が必ずしも伝わってこなかった」と述べた。象徴的なのが勧告権の問題とし、「採用されるかわからない形では勧告は出しにくいというのが委員長の説明だったが、住民の健康を守る観点でまず勧告を出すという姿勢がなければ、政府から独立した規制委本来の役割は果たせず、(原子力安全・)保安院時代と変わらないのではないか」と批判した。

記者たちに囲まれる泉田知事

今回の提言書では、原発への大規模な武力攻撃事態を想定した対処マニュアルの策定も国に求めているが、泉田氏は「諸外国では特に9.11(米国同時多発テロ)の後は、原発へのテロ攻撃も想定して(対処マニュアルが)運用されているが、我が国ではテロを含めて誰がどう対応するのかという態勢が十分にとれていない」との認識を示した。

関連して泉田氏は、「外務省は1980年代に原発が攻撃された場合の被害想定を行っており、公文書も存在している。政府の各省が縦割りでやっていても、政府全体として情報が一元化されていない。原発の安全性を確保する態勢がとれていない証左だ」と指摘した。

また、柏崎刈羽原発の再稼働の条件について問われると、「福島事故を二度と繰り返さないためには、事故の検証・総括が必要。津波についても15メートル級の津波が予測できたのに、なぜ対策がとれなかったかという総括も社内処分も行われていない。こうした状況では、再稼働について手続きも含めて議論する段階にない」と、従来と変わらぬ考えを表明した。

田中委員長からは皮肉な発言も

泉田氏はこれまで田中委員長について、「原発の性能基準の審査ばかりやっていて、住民の安全を守る使命感が感じられない」などと公然と批判してきた。今回は知事会の代表としての面会要請だけに、田中委員長としても断るわけにはいかなかったのだろう。

田中氏は面談2日後の定例会見で感想を聞かれ、「私のほうは特別ないが、知事としては言いたいことをおっしゃって、ご満足いただけたのではないか」と、あたかもガス抜きさせたかのような皮肉交じりの発言もしている。だが今回の面談では意見が平行線に終始した問題も多く、無論、泉田氏は満足していないはずだ。

規制委が問われているのは、自らが持つ独立した立場や権能を、国民の安全を守るべき原子力規制の改善に、どう生かしていくかだ。自治体の首長には原発推進派も多く、要望を聴くあまり、規制に穴を作るようなことはあってはならない。その一方で、外部からの批判や提言は真摯に受け止める必要がある。独立機関ゆえの勧告権についても、田中委員長は「伝家の宝刀」と表現するが、抜かないまま、さびてしまっては意味がない。コミュニケーションと独立性確保の両立に向け、まだまだ課題は多いと言えるだろう。

 

 

IAEA最終報告書「原発が安全との思い込み」 9月1日 11時53分NHK

IAEAにまでこんな分かりやすいことを言われている。
しかも!こんな余計なものまでついている▼

(記事より抜粋)市民の健康について、IAEAは、これまでのところ、事故を原因とする影響は確認されていないとしています。そのうえで遅発性の放射線健康影響の潜伏期間は、数10年に及ぶ場合があるものの、報告された被ばく線量が低いため、健康影響の発生率が、将来識別できるほど上昇するとは予測されないとしています。

さすがにチェルノブイリでも、
被害を受けた子供たちの数を過少に評価しているだけある!

もう、ヌカ状態のこの国だから、
何を言われても国民すらどうでもいいみたいだけど…
だって、桜島今日も激しく噴火していて。
川内を止めないんだから!ヌカだ!

www3.nhk.or.jp

IAEA国際原子力機関は、東京電力福島第一原子力発電所の事故を総括する最終報告書を公表し、事故の主な要因として「日本に原発が安全だという思い込みがあり備えが不十分だった」と指摘したうえで、安全基準を定期的に再検討する必要があると提言しました。
IAEA国際原子力機関は31日、福島第一原発の事故について40を超える加盟国からおよそ180人の専門家が参加してまとめた1200ページ以上に上る最終報告書を公表しました。
この中でIAEAは、事故の主な要因として「日本に原発は安全だという思い込みがあり、原発の設計や緊急時の備えなどが不十分だった」と指摘しました。
そのうえで、いくつかの自然災害が同時に発生することなどあらゆる可能性を考慮する、安全基準に絶えず疑問を提起して定期的に再検討する必要がある、と提言しています。
また、市民の健康については、これまでのところ事故を原因とする影響は確認されていないとしたうえで、遅発性の放射線健康影響の潜伏期間は、数十年に及ぶ場合があるものの、報告された被ばく線量が低いため、健康影響の発生率が将来、識別できるほど上昇するとは予測されないとしています。
IAEAは、この報告書を今月行われる年次総会に提出して、事故の教訓を各国と共有し、原発の安全性の向上につなげたいとしています。

「経験から学ぶ姿勢が安全の鍵」

今回の報告書について、IAEAの天野事務局長は「世界中の政府や規制当局、関係者が、必要な教訓に基づいて行動を取れるようにするため、何が、なぜ起きたのかについての理解を提供することを目指している」と述べ、その意義を強調しました。
そのうえで、事故の甚大な影響を忘れてはならないとし、「福島第一原発の事故につながったいくつかの要因は日本に特有だったわけではない。常に疑問を持ち、経験から学ぶ開かれた姿勢が安全文化への鍵であり、原子力に携わるすべての人にとって必要不可欠だ」と述べ、事故の教訓を原発の安全性の向上につなげてほしいと訴えました。

安全の問題に責任と権限が不明確

IAEAは、福島第一原発の事故の背景には、原発は安全だという思い込みが日本にあり、重大な事故への備えが十分ではなかったと指摘しています。
具体的には、仮にマグニチュード8.3の地震が発生すれば最大で15メートルの津波が到達することが予想されたのに、東京電力などが必要な対応を取らなかったとしているほか、IAEAの基準に基づく十分な安全評価が行われず、非常用のディーゼル発電機の浸水対策などが不十分だったとしています。
また、東京電力は、複数の場所で電源や冷却装置が喪失した場合の十分な準備をしていなかったほか、原発の作業員は非常時に備えた適切な訓練を受けておらず、悪化する状況に対応するための機器もなかったと結論づけています。
さらに、当時の日本の原子力の安全や規制については、多くの組織が存在していて、安全上の問題に遅滞なく対応するために拘束力のある指示を出す責任と権限がどの組織にあるのか明確ではなかったとしています。
そのうえで、当時の規制や指針は国際的な慣行に完全に沿うものではなかったとも指摘しています。

これまでのところ健康影響確認されず

市民の健康について、IAEAは、これまでのところ、事故を原因とする影響は確認されていないとしています。そのうえで遅発性の放射線健康影響の潜伏期間は、数10年に及ぶ場合があるものの、報告された被ばく線量が低いため、健康影響の発生率が、将来識別できるほど上昇するとは予測されないとしています。
そして、甲状腺検査の結果、一部で異常が検知された子どもたちについては、被ばく線量が低いことから、事故と関係づけられる可能性は低く、この年代の子どもたちの自然な発生を示している可能性が高いと分析しています。ただ、事故直後の子どもの被ばく線量については不確かさが残るともしています。
一方で、地震津波などいくつかの要素が関わっているとみられるため、どこまでが原発事故の影響かは判断することは難しいものの、住民の中には、不安感やPTSD=心的外傷後ストレス障害の増加など、心理面での問題があったと指摘しており、その影響を和らげるための対策が求められると強調しています。

東電旧経営陣3人強制起訴へ

福島第一原子力発電所の事故を巡っては、検察審査会の議決を受けて旧経営陣3人が業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴されることになり、今後、裁判で刑事責任が争われます。
政府の事故調査・検証委員会の報告書によりますと、東京電力は事故の3年前に福島第一原発に高さ15.7メートルの津波が押し寄せる可能性があるという試算をまとめましたが、根拠が十分でない仮定の試算で実際にはこうした津波は来ないなどと考え、十分な対策は取られませんでした。
こうした東京電力の対応について検察は、これまでの捜査で、「予測を超える巨大な津波で刑事責任は問えない」などとして旧経営陣を不起訴にしました。
これに対して検察審査会はことし7月に出した議決の中で、自然現象を確実に予測するのはそもそも不可能で、原発を扱う事業者としては災害の可能性が一定程度あれば対策を取るべきだったと指摘しています。
さらに議決では、当時の東京電力の姿勢について、「安全対策よりも経済合理性を優先させ、何ら効果的な対策を講じようとはしなかった」と批判しています。この検察審査会の議決によって東京電力勝俣恒久元会長ら旧経営陣3人が、業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴されることになり、今後、裁判で刑事責任が争われます。

サブドレン計画に突き進むのはー凍土壁のため…福島第1原発:地下水放出、知事が要望書 毎日新聞 2015年08月29日 東京朝刊

東京電力福島第1原発の建屋周辺の井戸(サブドレン)からくみ上げた汚染地下水を浄化して海に放出する計画について、福島県の内堀雅雄知事が28日、安全性の確保や情報公開の徹底を求める要望書を経済産業省東電に提出した。サブドレン計画は、建屋に流れ込む地下水を減らして新たな汚染水の発生を抑える汚染水対策の一つ。全国漁業協同組合連合会福島県漁連は今月、同計画を容認している。要望書は同計画について、第三者の安全確認や水の安全性の国内外への周知などを求めた。内堀知事は「地元漁協や県漁連が苦渋の思いで容認した。運用基準を順守し、新たな風評を招かないよう効果的な情報発信に努めてほしい」と話し、計画を容認する姿勢を示した。

福島第1「サブドレン」計画 全漁連が容認
「まさに苦渋の決断」産経新聞 8月25日(火)16時41分配信

全国漁業協同組合連合会(岸宏会長)は25日、東京電力福島第1原発の汚染水低減策で、建屋周辺の井戸「サブドレン」などからくみあげた地下水を浄化して海洋に放出する計画について、国と東電に実施を容認する考えを伝えた。計画は来月にも実施される見通し。

 岸会長は同日、東電の広瀬直己社長に対し「まさに苦渋の決断だが、計画が汚染水そのものの発生量を低減させ、操業再開のステップになると判断した」と述べ、改めてモニタリング態勢の強化や風評被害対策などを東電側に申し入れた。

 広瀬社長は「申し入れをしっかりと受け止めて、計画を着実に実施していくことで、周辺漁業の本格操業に結びつけていきたい」と話した。

 計画をめぐっては、地元の福島県漁連が11日に容認の条件として、放射性物質の基準値厳守▽事故の被害が続く限り漁業者への損害賠償を維持▽多核種除去装置(ALPS、アルプス)処理水は理解を得られない限り海に放出しない-などの5項目を盛り込んだ要望書を提出。25日、国と東電が全項目に応じる形で回答し、了承された。

【究極の原発話】2015.8.15 14:46産経新聞

 東京電力福島第1原発の汚染水対策で、原子炉建屋周辺の土壌を凍らせ、地下水の流入を防ぐ「凍土遮水壁(とうどしゃすいへき)」が一向に運用できない。当初は今年3月末にも運用する予定だったが、原子力規制委員会が「待った」をかけ続けている。半年近くも延期している理由は何か。(原子力取材班)

■ゼネコンの案を採用

 汚染水の抜本策として凍土壁という工法が持ち上がったのは、平成25年5月だった。汚染水を生んでいるのは、山側から海側に流れている地下水で、現在は1日約300トンが原子炉建屋に入り込み、放射性物質に触れて新たな汚染水となる。

 建屋への地下水の流入を防ぐため、政府はさまざまな工法について、ゼネコンからアイデアを募り検討してきた。その中で、大手ゼネコンの鹿島建設が提案した「土を凍らせて地中に遮水壁をつくる案」が適切と判断した。

 凍土壁は、1~4号機を囲うように地盤を約1・5キロにわたって掘削し、地中に一定間隔で管を並べて打ち込む。管内に冷媒(マイナス40度)を循環させ、土を凍らせて壁をつくる。高濃度の汚染水がたまる原子炉建屋には、壁に開いたわずかなすき間などから地下水が流入し、汚染水の総量が増えている。この凍土壁が建屋内と外側の水の動きを遮断できるという。

■首肯しない規制委

 凍土壁が「汚染水の抜本的な抑制策」と見た政府は、25年9月に国費約320億円の投入を決定し、政府や東電は実効性を確かめるための実験に着手した。

 しかし原子力規制委員会は、なかなか首を縦に振らなかった。国の施策にもかかわらず、「安全性と有効性を確認しておらず、認可していない」と慎重姿勢を示したのだ。

 現在は、工事の着工を認めているが、運用自体を認めていない。

 なぜなら、凍土壁を運用すれば、現在原子炉建屋にたまっている汚染水の水位が、流れ込んでいる地下水の水位と逆転し、建屋の外へ汚染水を漏らしてしまうからだ。

凍土壁の試験結果では、一部の区画の地下水位が一時的に15センチ以上も低下するなど、地下水の挙動把握の難しさも露呈した。

■サブドレンに道筋

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 ではどうしたら運用が認められるのか。

 規制委の更田豊志委員長代理は「凍土壁を運用するには、サブドレンが大前提だ。それなしでは動かさない」と言明する。

 サブドレンとは、原子炉建屋近くでくみ上げた地下水を浄化設備で処理した後、タンクに貯蔵し、放射性物質の濃度基準を下回っていることを確認した上で海に放出する計画だ。

 井戸からのくみ上げや注水で、地下水の挙動をコントロールできる。

 だが、風評被害への懸念などから漁業者から反発が続いていた。たとえ浄化したといっても、原発の水が海に流れるのは強い抵抗感があったからだ。

 しかし東電などの粘り強い交渉で、福島県漁業協同組合連合会(県漁連)が8月7日、サブドレンの計画を容認した。

 県漁連の野崎哲会長は「安定的に廃炉を進めることが、福島県漁業の再開の一番の特効薬になると判断した」と容認した理由を話した。

 漁連の英断に東電も「感謝し申し上げます」とコメントしており、サブドレンの容認で、凍土壁も前へ進む可能性が大きくなった。


 

GPIFの運用実績チャラ…世界株安で「年金5兆円消失」の恐れ2015年8月29日 から年金周りの酷い記事。

国民の年金が危機にさらされている。公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が27日、2015年4~6月期の運用実績を発表した。6月末時点での運用資産額は過去最高の約141兆円。運用実績は2兆6489億円の黒字と堅調だった。

 ところが、この実績には最近の世界同時株安の影響は織り込まれていない。実は「5兆円」も国民の年金が“溶けた”可能性があるのだ。この日の発表では、国内株の構成割合は23.39%で、金額は約33兆円分に上る。GPIFが“基準点”にしている6月は、24日に日経平均が年初来高値の2万952円を付けたが、今月25日には1万7806円と大暴落。下落率は約15%だから、単純計算でGPIFは約5兆円も損を被ったことになる。

 厚労省の森浩太郎参事官は27日、民主党の会合で「計算上はそういった理論も成り立つ」と認めていた。日本株だけでなく、GPIFは外国株も22.32%保有しているから、マイナス額は5兆円では済まない可能性もある。

安倍政権は株価維持を図りたいのでしょうが、GPIFは国民の年金積立金が原資。リスクにさらされ、我慢しなければいけないのは国民です。日本株の構成割合の中央値は25%ですが、プラスマイナス9%の幅を持たせているので、最大で3分の1の資金をつぎ込めます。値動きが激しい株式市場に、ここまで巨額の公的資金をつぎ込むのは大問題です。もはや、資金を引き揚げることも不可能でしょう。引き揚げを示唆しただけで株価は暴落してしまいます」(経済ジャーナリストの荻原博子氏)




 28日の日経平均は、前日比561円高の1万9136円と1週間ぶりに1万9000円台に持ち直したが、まだまだ先は見通せない。安倍政権の支持率維持のための買い支えは許されない。

ここ1週間ほど世界的な同時株安が進みました。昨日今日はNYダウ日経平均は若干持ち直しているようですが、震源地である上海株は追加金融緩和策を発表したにも関わらず続落を続けています。このまま上海株の続落が止まらなければ、当然のように他国の株価も再度下がるでしょう。

そして、ここ数日の株価下落でなんと我々の年金資金が5兆円も消失していることが、昨日の国会質疑で判明しました。

山井和則議員によるツイッター

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この6日間に株は20600円から17800円に2800円、14%下がった。年金積立金の株資産は32兆円なので14%減なら、6日間で5兆円、年金積立金が減ったことになるではないか」と私。「そうなる」と塩崎大臣。株安は年金受給者を直撃。