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廃炉 なお手探り  2015年06月11日yomiurio ON LINE

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東京電力福島第一原発廃炉は、今なお手探り状態であることが浮き彫りになった。政府と東電廃炉工程表改訂案は、1~3号機プールからの使用済み核燃料の取り出し開始を半年から3年遅く改めた。原子炉内で溶け落ちた燃料回収は方法すら定まっていない。

 1~3号機の原子炉建屋にあるプールには、未使用も含め計1573体の燃料が一時保管されている。使用済み燃料からは放射線と熱が出続けており、運び出さないと原子炉内で溶け落ちた燃料の取り出しを安全に進められないため、廃炉を進める上で重要な作業に位置付けられている。

 現在の工程表に比べて、1~3号機プールからの燃料取り出し開始目標が遅くなったのは、がれき撤去や現場の除染が遅れていることが影響している。1号機は3年、2号機は半年、3号機は2年半遅くなった。

 原発に近い楢葉町では避難指示の解除に向けた長期宿泊が始まっている。同町の三橋トシ子さん(70)は、「プールに燃料が残されたままだと、大きな地震でまた避難が必要になるかも。早く取り出して」と不安そうに話した。原発がある大熊町の渡辺利綱町長は、廃炉作業の遅れについて「残念だが、急ぐあまり安全がおろそかになってはならない」と強調した。

 同原発では、建屋への地下水流入で汚染水が1日に約300トンずつ増加。廃炉作業を阻む大きな課題の一つになっている。現在の工程表では、2020年中に原子炉建屋地下などにたまった高濃度汚染水を全て処理するとしており、県などの要望を受け、改訂案にはより細かな道筋が盛り込まれた。

 地下水流入による汚染水の発生量を16年度中に同100トン未満に抑制する目標などで、たびたび汚染水漏れを起こしている組み立て型のタンクは、16年度の早期に溶接型に置き換える。処理装置で18年度中に建屋にたまった高濃度汚染水の放射性物質の濃度を半減させるという。

 これらは、東電が計画する汚染水対策の実現が前提だ。建屋周辺の地中に氷の壁を造り、地下水の流入を防ぐ「凍土壁」や、建屋近くの井戸「サブドレン」からくみ上げた地下水を処理して海に流す計画などだ。 それでも、処理装置では放射性物質トリチウムだけは取り除けない。国際原子力機関の専門家らは「薄めて海への放出を検討すべき」と指摘しており、改訂案ではこの議論を16年度上半期から始めるとした。

 

 

 

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